このページでは慶應義塾高校自動車部(以下、塾高自動車部)がとっている方式を解説しています。
塾高自動車部は大学が参加する公式戦のルールに準じて活動していますが、一部異なる場合があります。
フィギュアは、運転の正確さと速さを競う競技です。
ひも
や障害物である缶
を踏み越えないかの3つを運転の正確さや速さを示す指標として点数化し、争います。
このため、むだな動きのない洗練された車両操作が要求されるほか、乗用ではミラーを伏せるため車両感覚が特に必要になります。
運転の速さを示す指標として、スタートからゴールまでの所要時間を計測します。
各コースには減点基準時間と制限時間が設けられており、減点基準時間を超えてからゴールするまでの時間については、減点対象となります。
制限時間内にゴールに到達しなかった場合はタイムオーバー(TO)により失格となります。また、コースによっては競技時間短縮の目的で中間タイム制限が設けられることもありますが、中間タイム制限が設けられた地点まで設定された時間内に到達しなかった場合も、タイムオーバー(TO)により失格となります。
運転の正確さを示す指標として、「接」、「脱」、「缶」を記録します。それぞれの語の意味と計測方法は次の通りです。
また、1m以上にわたってひもにタイヤが触れ続ける状態(俗に言う“ロン接”)は、1mごとに接1が加算されます。
1mに満たない分については切り上げますので、2.4mにわたって接をした場合は接3がカウントされます。
また、1m以上にわたってタイヤがコース外へ出続ける状態(俗に言う“ロン脱”)は、1mごとに脱1が加算されます。
1mに満たない分については切り上げますので、2.4mにわたって脱をした場合は脱3がカウントされます。
なお、タイヤがコース外に出るのは1度ひもに触れてからですが、その際に接はカウントされず、脱のみがカウントされます。
このため、1m以上にわたって接をしている間に脱をすると、タイヤがコース内をはみ出してから再びコース内に収まりきるまでの長さが、脱としてカウントされます。
また、スラロームの枝(「4-1コースの種類」で解説)は缶が一列に並んでいる扱いであるため、枝に触れた場合は「缶接」とみなします。
缶を跨ぐと「缶脱」なので、枝を踏み越えた場合は「缶脱」になります。
車を正しく扱えているかどうかも点数化されます。おもに次の行為が減点の対象となります。
以下の行為につきそれぞれSPがカウントされます。
点数はすべて減点により算出されます。加点はありません。
減点基準時間を超えたぶんについては2秒ごとに1点が減点されます。2秒に満たないぶんについては切り上げますので、減点基準時間を11秒超えた場合は6点が減点されます。
接は1つ10点、脱は1つ20点の減点となります。接脱がひもではなく缶の場合はさらに20点が減点されます。つまり、缶接は30点、缶脱は40点となります。
そのほかの減点は次の通りです。
3分~8分のコースで結果が4分23秒 接2 缶1 エンスト1だった場合
減点基準時間を超えたぶんは1分23秒=83秒です。2秒ごとに1点が減点されるので、タイムによる減点は42点となります。これに加えて接による20点、缶による20点、エンストによる8点がさらに減点されるため、総減点は90点となります。
なお、同じ総減点の選手が複数人いた場合にはタイムで順位が決まり、より短いタイムでゴールした選手が上位となります。
誤計算防止の為、点数計算を簡単に行うことの出来るフィギュアカウンターというAndroidアプリケーションを公開しています。
また、Android以外の環境でも使うことの出来るように、Webアプリも公開しています。
スタート前には、最大90秒間の勘付けタイムが設けられています。
勘付けタイムは選手が試合車のドアノブに触れた時点から始まり、選手が両手を挙げると終わります。
選手は90秒の間にシートの調節やミラーの調節などを行います。また、スタートエリアの中央に据えられた車を好みの位置に移動します。
勘付けタイム中はスタートエリアに1輪を残した範囲であれば自由に動くことができますが、勘付けタイムが終了するまでにスタートエリアに4輪すべてが入っていなければいけません。
コースの中には「確認」と呼ばれる場所が数か所設けられており、確認にタイヤを入れることで規制線が開き、次に進むことができます。
選手は、確認にタイヤを入れたら「はい」とコールし、審判に判定を求めます。(判定については「3-2審判」で解説) 確認が決まらなければ、位置を修正し、コールをやり直します。ただし、コールを繰り返すと減点されます(「2-3同乗減点」で解説)ので、コールは慎重に行う必要があります。
確認は、確認すべきタイヤの数によって、次のように分けられます。
フィギュアの審判は、タイヤの横に立って接脱缶を記録するインペク、車両の前に立ってインペクを束ねるチーフ、接脱缶以外の減点をとる同乗審判の3つからなります。同乗審判については監督やコーチにお願いするため、ここでは説明を割愛します。
インペクは、4輪に1人ずつ付き、タイヤの動きを追います。タイヤの真横にいれば車にぶつかる心配はありません。なお、各タイヤを次のように呼称します。
それぞれのタイヤについて、接脱缶を用紙に記録します。缶接があった場合にはタイヤの通過後すぐに所定の位置に缶を戻します。缶がつぶれている場合はコース外へ除去し、すぐに代わりの缶を置きます。
また、1mを超える接脱があった場合は、その開始点と終了点にチョークで印をつけます。競技中に計測するとその間のタイヤの動きを見られなくなるので、ゴール後にその長さを計測します。計測後は水をつけたブラシなどでこすり、印を消します。次の選手で印をつけたときに混同するのを防ぐため、そして競技の進行を滞らせないために、計測終了後直ちに消します。
確認にタイヤが入ったかどうかを判定するのもインペクの役割です。
選手の「はい」というコールがあったら、インペクは確認にタイヤが入ったかどうかを判定し、入っていれば挙手をします。この際、確認に該当していないタイヤでも、接脱がなければ挙手します。選手が「はい」と言うまでは、確認に入っていても挙手してはいけません。
確認の判定中も試合時間を計測し続けていますので、競技に影響しないよう、判定はスピーディーかつ正確に行う必要があります。
チーフは車両の前面に立って競技を進行します。チーフは次のようにして競技を進行します。
なお、制限時間を超えた場合は、その時点でホイッスルを吹いて競技を終了します。
失格には次の種類があります。
フィギュアのコースには次のような種類があり、これらを組み合わせることで1つのコースになります。
塾高自動車部では、1年生で初めて乗用車を扱うとき、2年生で初めて貨物車を扱うときの初級コースに登場します。
ボックスの種類を表すために、入口と確認の位置関係で分類・呼称することがあります。
左右のひもに触れないよう、繊細なハンドル操作が要求されます。
縦の動きに制限があるなか、車両をいかに横方向にずらすかが重要です
これらのコースを組み合わせることによって次のようなコースができます。
このコースにはボックス、狭路、スラローム、クランクの各要素が取り入れられています。
部内戦などでは、このようなコースで得点を争います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本ページの解説を通して、フィギュア競技について少しでも理解を深めていただけたなら幸いです。
このページは自動車競技におけるフィギュアを広く知ってもらうため、また部内での認識を共有するために作成しました。
2014年12月作成
2017年7月改訂